産後のむくみとどう付き合う?むくみの仕組みと対処法

妊娠中、出産後で「むくみ」が気になっている方はかなり多くいらっしゃいます。当院に来院される方でも、産後のむくみを訴える方が多いです。
統計的にも、産後は約8割~9割の人が足のむくみを自覚するといわれており、ほとんどの人が大なり小なり不快な症状を訴えています。
妊娠中にむくみがひどく、出産が終わればむくみがなくなると思っていたのに産後もむくみに苦しんだ、という人や、出産後にむくみやすくなったという人もいるようです。
むくみは出産につきものの生理的な現象だとはいえ、辛く苦しいものです。今回は産後のむくみで悩んでいる方のために、むくみが起こるプロセスや対処法について説明いたします。

■むくみ(浮腫)って?

むくみとは医学用語では「浮腫(ふしゅ)」といいます。
血液中の水分が、血管やリンパ管の外にしみ出して皮下組織に溜まる状態をさします。水分は重力の影響を受けやすいので、足に症状が出やすいのが特徴ですが、浮腫の度合いがひどくなると、足だけでなく、手や顔、体などにも不快な症状が出現してきます。
血管やリンパ管と細胞は、血液を介して常に栄養や老廃物の受け渡しを行っていますが、その受け渡しもスムーズに行われていない状態だといえます。

■産後のむくみの症状は?

むくみはひどくなると該当部位が腫れているようにみえます。例えば「むくんで象の足のようになった」というのは、腫れて足首のくびれがわかりにくくなっている状態です。
むくみを客観的に判断する方法は、該当部位を指で押してみることです。むくみは皮膚の下に水分がたまりますので、指で押すとその痕が元に戻りにくく、へこんだ状態のままになります。
むくみが出現すると、自覚症状としてだるさや、重たさ、動きにくさ、冷たさ、しびれ、痛み、熱感などを感じます。

むくみが足にでると、歩きづらさを感じ歩きにくくなりますし、むくみが手にでると、日常の作業に支障をきたします。顔のむくみは目を開けにくくなったり、喋りにくくなったり、時にはめまいや耳鳴りの症状が出る場合もあります。身体のむくみは体の節々の痛みやだるさ、不快感などを伴います。

●産後のむくみはいつまで?

産後のむくみは、一般的なむくみと違って産後1か月程度で自然に治ります。
むくみは安静状態から徐々に離床を始める出産後3日目以降に出現しやすく、大抵は1週間から10日くらいで不快な症状も落ち着き始めます。しかし、不快な症状を引きずったまま退院する人もおり、中には1~2か月ほどむくみの症状がある人もいます。

■産後のむくみの原因は?

●急激な血液量の変化

妊娠中の体重増加は10~12㎏で、このうち約6割は水分が占めています。お腹の赤ちゃんに届けるために増えた血液は、出産時の出血などで体外に出ていきますので、体を巡っていた血液量は急激に変化します。急激な水分の減少は水分バランスを崩し、身体は必要以上に水分をため込もうと働きます。
また、出産で赤ちゃんに行っていた血液や水分の余剰分が行き場を無くしていることも重なって、産後のむくみを引き起こすと考えられています。
産後の数日間は発汗しやすくなりますので、大抵は、出産後の10日間で妊娠中に蓄積した水分や組織が消滅し、むくみも落ち着いてきます。

●急激なホルモンの変動

出産を期に、それまで胎盤支配のホルモンから、脳下垂体ホルモンの支配へと劇的に切り替わります。下垂体ホルモン支配によるバランスの取れた状態に戻るまで約1か月かかりますので、その間は体の状態も不安定になります。

●妊娠中の身体への負担など

妊娠中毒症を合併していた場合、産後のむくみは強くなる傾向にあります。その他にも、妊娠中に大きくなった子宮が血管を圧迫し続けていたことや、腎臓の血液量が低下していたこと、出産時の身体への負担などのいくつかの要因が重なって、むくみが発生するメカニズムに影響していると考えられています。

●疲労や睡眠不足

出産時の疲労回復が睡眠不足などで順調にいっていない場合に、むくみが高確率に出る傾向だという研究結果があります。身体の疲労が溜まっている状態は、身体の細かい調整をスムーズに行うことができません。

■産後のむくみの対処法は?

●①温める

むくみが見られる部位は、血行が悪くなって冷たくなりがちです。手っ取り早くむくみを解消するには、むくんだ部位を温めて血行をよくするのが一番です。
簡単に入浴と同じ効果が得られる足浴は、足のむくみ対策だけでなく、体全体の血行をよくしますのでむくみの改善に効果的です。足浴は医療機関でのむくみのケアでもよく行われています。
洗面器やバケツに気持ちいいと感じる熱めのお湯をため、足首の高さ~ふくらはぎの高さまで10分程度足をつけます。足の血流だけでなく全身もポカポカしてきます。

●②足を高くして横になる

休憩するときや、お昼寝をするとき、夜横になる時は、足の下にクッションや畳んだ座布団を敷いて足を10~15cm程度上げて横になります。
足に溜まりがちな血液が流れやすくなり、辛いむくみの症状を和らげてくれます。
この時、足を高く上げると付け根の血管やリンパ管を圧迫して、血流がかえって悪くなりむくみを悪化させますので、足を高く上げ過ぎないように注意します。

●産後1か月はしっかり休養を

10か月にわたる妊娠、出産で身体は大きな負担とダメージを受けています。むくみは体を妊娠前の状態にもどるように調整しているシグナルの一つだと受け止め、しっかりと休養をとり身体を休ませましょう。運動不足を気にして無理に動き回ったり、ハードな運動をすると身体の回復が進みません。運動は軽いストレッチや産褥体操程度にとどめることが大切です。

●塩分控えめでカリウムとビタミンB1を

むくみを助長しないために、むくみを解消する食事を意識してとるのも効果的です。
塩分は体に水分をため込もうとしますので、出来るだけ薄味の食事にします。
また、水分を体の外に排出しやすくしてくれるカリウムを含む食品(野菜や果物、豆類など)を献立やおやつにプラスしてみましょう。
ビタミンB1の不足は浮腫を引き起こしますので、ビタミンB1を含む食品(豚肉、ウナギ、玄米など)も積極的に取り入れましょう。

●適度にマッサージや指圧を

おふろ上りなど体が温まっている時に、ストレッチやリンパに沿ったマッサージを行うとむくみが楽になります。
仕上げに、むくみに効くツボ、三陰交(くるぶしの指4本上)、照海(うちくるぶしの指1本分下)、然谷(土踏まずの中心)を押すと、翌朝のむくみはかなり楽になるはずです。

■産後のむくみと上手につきあおう

産後のむくみはほとんどの人が経験する症状です。自然に治るとはいえ、やはり個人差があります。いろいろ試したけれど、やっぱり辛い!そんな時は、我慢せずに医療機関や専門家に相談して乗り切りましょう。

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参考文献:
・母性看護学概論:医学書院

・カラー写真で学ぶ妊産褥婦のケア:医歯薬出版

・順天堂大学医学部付属静岡病院
http://www.hosp-shizuoka.juntendo.ac.jp/column/stork_club/2013_extra_02.html

・岐阜県立下呂温泉病院 産婦人科病棟「産褥期の下肢の浮腫に対する足浴の効果」
http://www.gero-hp.jp/assets/files/other/houjin/nenpou/nenpou35-4.pdf#search=%27%E7%94%A3%E5%BE%8C+%E6%B5%AE%E8%85%AB+%E7%9C%8B%E8%AD%B7%27

・仙台市立病院「産褥期の下肢浮腫に対する実態調査」
https://hospital.city.sendai.jp/pdf/p097-102%2023.pdf#search=%27%E7%94%A3%E8%A4%A5%E6%9C%9F+%E6%B5%AE%E8%85%AB+%E3%83%A1%E3%82%AB%E3%83%8B%E3%82%BA%E3%83%A0%27